自分の能力は数字で「可視化」が必要です。
具体的な数字がなければ他人にも証明できず、また自身の能力を飛躍させるためのPDCA(改善サイクル)が回せません。
そこで、英語学習者は自分の実力を測るために英語の試験を受けるのが通常です。
有名なものでTOEIC、英検などがありますが、年々、さらに詳細に、またはスピーキングなど分野に特化した実力が測れるテストが増えてきました。
今回紹介する「VERSANT」も例外ではありません。
なぜこのように様々なテストが増えているかの背景としては、実際にTOEIC950点の会社員でもビジネスの現場では全く英語で意思疎通ができなかったりします。
ビジネスの現場で必要なのは英語を使った「コミュニュケーション能力」です。
ペーパーの英語試験が得意でも、英語特有のコミュニュケーション術などを知らなければ、訓練されていなければ使い物になりません。(そもそもTOEICは英語力を測る試験ではなく努力度を測る試験です)
会社としても困ってしまいます。
そこで、「VERSANT」のような発音、流量さ、語彙力などに特化した試験が注目を浴びています。
今回は、現在多くの英会話スクールで導入されている「VERSANT」について解説していきたいと思います。
Contents
VERSANTとはどんなテストなのか?
[VERSANT]
- 開発会社:Pearson社(世界最大規模・ロンドンの教育サービス会社、日本では日本経済新聞社が提供)
- テスト分野:リスニング力、スピーキング
- テスト種類:VERSANT English Speaking Test(20分)、VERSANT English Writing Test(35分)、VERSANT English Placement Test
- 特徴:高度な自動言語認識システムを採用。日時や場所を問わず受験可能(オンラインで、スマホアプリ一つで受験)、短時間(5分程度)で結果閲覧可(5ページに及ぶ詳細なレポート)
- 実績:米国防総省、オランダ移民局、、Stanford University、大手グローバル企業(ヒルトンやIBM、メリルリンチ日本証券株式会社、日本たばこ産業(JT)等)などで英語力測定に採用
- 点数:20〜80点(英語習熟度指標GSE (Global Scale of English) によるスコアでも採点)
- 受験料:4,000円 ~ 8,000円
- 平均スコア:日本人 38点、ビジネスマン推奨スコア 47点以上
- VERSANT English Speaking Test…リスニング・スピーキングで英語力を測定(発音・流暢さ・語彙・文章構文)。ネイティブスピーカーが話す英語に対して、即時回答していく。
- VERSANT English Writing Test…ライティングで英語力を測定。英語を正確に、論理的にWriteingできるかをパソコン画面の指示に従い英文作成で測定。
- VERSANT English Placement Test…英語4技能(スピーキング、リスニング、ライティング、リーディング)を総合的に測定。総合格闘技的な位置付け。
スピーキングテストの発音・流暢さ・語彙・文章構文は以下のように定義されています。
- 発音...文脈においてネイティブ同様に子音や母音を発音し、強勢を置くことのできる能力です。日常単語の音韻構造の知識によりスコアが判定されます。
- 流暢さ...文章の組み立て、読み、反復の際のリズム、区切り及びタイミングの取り方の能力です。
- 語彙力...構文中の日常的かつ一般的な単語を理解し、自在に表現する能力です。日常的な単語の形式と意味の理解、また関連する発言におけるそれらの用法の熟達度によりスコアが判定されます。
- 文章構文...発言を把握し、それを逐語的に発話する能力です。構文力や文章内における適切な単語、句、および節の使用の習熟度によりスコアが判定されます。
「VERSANT」は「ヴァーサント」と呼びます。そのままです。
英語のリスニングとスピーキングに特化した英語試験です。
なぜリスニングとスピーキングに特化されているかというと、最も重要な「日常やビジネスでも使える、コミュニュケーションを円滑に行えるかどうか」に焦点を当てていることが理由です。
一般的なTOEIC試験にはスピーキングはなく、ペーパーで、ある程度問題の傾向などが定型化しており、英語がそこまで得意でなくても数ヶ月の努力で高得点を目指せます。
しかし、それでは現場の英語力が身についたことにはならず、グローバル人材を獲得したい企業側も本質的な就職希望者の英語力が測れません。
そこで「VERSANT」が役に立つということですね。
まだまだ認知度は低いも、ビジネスの場で使えるスピーキング力・ライティング力を測ることが可能です。
つまり、「誤魔化し」がきかない試験とも言えます。試験は全て口頭です。
採点結果の詳細レポート(5ページにも及ぶ)には、今後どのように英語力を伸ばすべきかのアドバイスも付されています。
Versantスピーキングテスト/TOEFL iBT/TOEIC LR/IELT/CEFR 換算表
<VERSANTはスピーキングテストを参考>
Versant | TOEFL iBT | TOEIC LR(L&R・W&S合計) | IELT | CEFR |
80-79 | NA | NA | 9.0-8.5 | C2 |
78-69 | 120-95 | 945~ | 8.0-7.0 | C1 |
68-58 | 94-72 | 940-785 | 6.5-5.5 | B2 |
57-47 | 71-42 | 780-550 | 5.0-4.0 | B1 |
46-36 | NA | 545-225 | NA | A2 |
35-26 | NA | 220-120 | NA | A1 |
ビジネスマン推奨スコア 47点以上ですが、TOEICでいえば550-780のレンジ、TOEFLなら42-71、IELTは4.0-5.0、CEFRはB1ですね。
正直、昔からTOEFLとTOEICの点数換算表などが存在していますが、意味がない換算だと思います。そもそもそれぞれのテストが求めているゴールが違いすぎます。
TOEFLはどちらかというアカデミックな内容が多く、TOEICはビジネスですよね。TOEFLは46点だがTOEICは900点だという人間を見たことがあります。
サンプルは一人に過ぎませんが、換算表はかなり意味のないものであると個人的には感じています。換算するくらいなら受けて確かめた方が良いかもしれません。
英語を様々な角度で学ぶのは良いことなので。
Versantのスピーキングテストの内容
- 試験時間:約17分
- 問題数:63問
- 出題内容:
①音読:8問 ②復唱:16問 ③質問回答:24問 ④文の構築:10問 ⑤話の要約:3問 ⑥自由回答式質問:2問
全て英語のネイティブ話者が話す録音音声を聞き、英語で応答していきます。
VERSANTはそもそも信頼できるテストなのか?
そもそもVERSANTは信用できるのでしょうか?
冒頭でグローバル企業やアメリカの政府機関などで採用されているテストと紹介しました。
また実際に実務で英語を利用する頻度がとても多い、メリルリンチ証券など投資銀行も採用しているのは、なかなか信頼性に足りる実績です。
VERSANTの点数はAIによって自動採点されており非常に先進的です。
スピーキングテストというと、実際に生身の先生に英語を聞いてもらい、採点してもらうことが多かったと思います。つまり、主観がかなり介入していた状態でした。
日系大手企業の就職活動の際に現れる主観全開の面接官のようなものでした。
しかし、VERSANTの場合、AIを活用し、数千人の英語のネイティブスピーカーなどの話す英語のデータを元に、受験者の英語を比較し点数を弾き出しています。
要するに機械が感情なしで採点していますので、より正確に、他の受験生とも主観の混ざらない正確な比較ができる採点方式となっているのです。
点数も十分に信用できるものとして、今後VERSANTはさらに認知度を上げていくような気がしています。
VersantとTOEICは何が違うのか。TOEICの方がメジャーで信頼性が高そう?
サラリーマンであれば、まずはTOEICを受けるのが基本でしょう。
追加で他の試験も受けるなんて嫌になってしまいそうです。できれば避けたいところです。
テストを受けるからには、良い得点を取りたいものです、つまり対策をしなければなりません。
TOEICとの違いをまず理解して、メリットを感じるのであればVERSANTも受けましょう。
VERSANTの提出のみを求める企業に提出するのならTOEICの存在は忘れましょう。
企業側としては、英語でしっかりとしたビジネスコミニュケーションが取れるのかを把握したいはずなので、VERSANTをこれから求める企業が多くなりそうです。
TOEICに関しては「努力ができる人間かどうか」を測る側面があると筆者個人的には考えており、TOEICが求められることは今後もあるとは思います。
TOEICとの違い 「リアルなコミュニュケーション能力を計測する」
TOEICといえば、ペーパーテストの出題傾向と出現する単語の難易度も一定で、誰でも集中して努力をすれば、あまり英語力が高くなくても高得点が取れてしまう、不思議なテストです。
努力比べのような側面が個人的には強いと思っています。東京大学の学生とか、英語を喋れなくてもTOEICで高得点を出すのは得意なのではないでしょうか。
VERSANTはそのような点数ハックができません。実際のコミュニュケーションを取る能力をテストでは測ります。
相手の話を聞いて、理解して、自分の意見を述べる。この流れを英語でできるかどうかを測るのがVERSANTです。
日本語でも相手の話を聞けない、理解できない、自分の意見を言えない人が溢れていますが、それを英語で実行するのは簡単ではありません。
英語力単体ではなく、ビジネスで通用するコミュニュケーション能力まで、ある意味計測されてしまいます。
筆者が企業採用側であればTOEICの点数をハックした勉強家よりも、VERSANTでコミュニュケーション能力が高いことを証明できている就職希望者を取りたいと思いますね。
TOEICは受験会場でテストを受ける、VERSANTは今すぐその場でテストを受ける
TOEICのテスト、受けに行くのがとても面倒ですよね。予約して、会場に行って、試験を受けて、帰ってきて、しばらくしたら結果が出る。
デジタルに慣れた世代ですと、とても煩わしいタイムラグと移動時間です。
VERSANTは受験料を振込、アプリを開いてすぐに受験が可能です。
これぞデジタル時代ですね。
VERSANTは結果がすぐにわかる
TOEICは試験後、最速で3週間後に結果をウェブ上で確認できます。郵送は約1ヶ月程度。
VERSANTは受験後5分程度で結果がわかります。VERSANT、電光石火ですね。
具体的な受験方法
準備するものは、「スマートフォン」「TIN(受験番号)」「VERSANT専用アプリ」の3つです。
以下の画面から受験料を支払い、TINをメールで受領し、アプリでテストを受けます。(販売代理店はディスコでもドリームブロッサムでも変わりません)
受験番号を入手したら、以下の手順で受験に進みます。
アプリダウンロード
↓↓↓
注意事項はこちらのPDFを確認してから受験しましょう。
https://www.versant.jp/_common/_js/pdfjs/web/viewer.html?file=app.pdf
テスト結果は公式サイトで確認。
https://www.versant.jp/result.html
VERSANTスピーキングテストの構成とその対策
英語でのコミュニュケーション能力を測定する「Versant」。対策なしで臨めば本来の英語力がたしかにわかりますが、やはり企業などに提出するのであれば、対策をしてなんとか高い点数を叩き出したいものです。
重点的に対策が必要なのは「発音」と「流暢さ」の2つですので、訓練しましょう。たくさん話して口に英語がスラスラ話せる筋肉をつける必要があります。
対策をするにも、まずは具体的な試験の内容を確認しましょう。
孫子の兵法に出てくる「敵を知り、己を知 れば百戦危うからず」の理念に乗っ取り、VERSANTを攻略していきましょう。
VERSANTで測定されるスキルは、「文章構文」「語彙」「流暢さ」「発音」の4つ。
試験問題は以下の6つのパートで構成されています。63問もこなすのは大変ですが頑張りましょう。
- パートA:音読(8問)
- パートB:復唱(16問)
- パートC:質問(24問)
- パートD:文の構築(10問)
- パートE:話の要約(3問)
- パートF:自由回答(2問)
それぞれの対策を紹介します。
パートA 音読
パートAは8問あります。1問ごとに英文が用意されており、そちらをネイティブスピーカーかのように読み上げます。
精神論は嫌いですが、自分をネイティブスピーカーだと思い込みリズムに気をつけて読み上げましょう。
このリズムについては本当にネイティブスピーカーの話を聞いた数に比例しますので、対策としては四六時中、生きた英語を聞きましょうという話になります。
知らない単語があると詰まってしまいますので、当然ですが語彙力が必要になってきますね。
日々覚えた単語の積み重ねがやはり試されているように感じます。日頃から知らない単語に出くわした時に、意味と正確な発音をセットで覚えることを推奨します。
事前対策としては、日々のネイティブスピーカーの音声シャワーを浴びる、文法理解と単語力をアップさせるのが効果的な対策になるでしょう。
パートB 復唱
パートBは16問あります。
ここではアプリから流れる音声を聞き、聞こえた英文を復唱します。文章は表示されていません。聞き取れていないとアウトプットできませんので、リスニング力が試されます。
知らない単語が来てしまったら厳しい状況です。加えて、少々長めの文章を一度しか読まれないため、「記憶の整理術」も試されます。
実際に「相手の話を理解する」には日本語においても要点を捉えて自分の言葉に置き換えれば良いだけです。
しかし、「英文を正確に復唱」という点は筆者も非常に難易度の高さを感じました。とてもこの類のテストは苦手なので。
筆者は友人が話した言葉でも一語一句漏らさず復唱するのも難しいです。VERSANTでは集中力が試されます。
わからない単語はそれっぽく発音して誤魔化すしかないです。(個人的には、自分の言葉で理解した内容をアウトプットすればコミュニュケーション能力を測るには十分な気もしました・・・)
後半になるにつれて、音声スピードもアップしていきますが、強メンタルで乗り切りましょう。
事前対策としては、日々のシャドーウィングが効果的な対策になるでしょう。
パートC 質問
パートCは24問です。多いですね。
流れる音声の質問を聞き、自分の言葉で回答していきます。筆者個人としては復唱よりはるかに答えやすかったです。
とにかく集中して聞き、わからなくても予測して必死に答えましょう。「どちらが良いか?」という問いに対しての答えを用意します。
論理的に、端的に、自信を持って断定口調で答えていけば問題ありません。ビジネスの現場でも自分が持っている情報を元に自信を持って相手に伝えることが重要です。
こちらは経験のある方であればわかると思いますが、TOEFL iBTのスピーキングテストに似ています。TOEFL受験経験のある人であれば、比較的回答方法に慣れているはずです。
事前対策としては、日々のオンライン英会話などで練習する、日々ネイティブ講師に2択の質問をしてもらい話を聞いてもらうなど実践的なものが効果的な対策になるでしょう。
パートD 文の構築
パートDは10問です。
流れる音声を記憶し、文章を並び替えます。一つの文章が三回に分けて、ランダムに音声が流れます。
一つ目の音声が聞こえた時に、どのような話なのか察知する力が必要です。といっても、長い文章ではなく、be動詞などの位置を徹底的に聞き逃さないことが重要です。
例.
- that he wanted
- He was so hungry
- something to eat.
He was so hungry that he wanted something to eat.
事前対策はとにかく文法の勉強をすることですね。
パートE 話の要約
パートEは3問です。
短い物語が音声で流れます。聞いた内容をサッと要約します。こちらも自分の言葉で要約することになりますので負荷的には弱めです。
ビジネスマンであれば会議のファシリテーション、議事録などで鍛えられていると思いますので、相当に知らない単語がない限りは問題のないパートだと思います。
会議であれば相手の反応を見ながら要約ができるぶん、VERSANTではそれがないのでやや難易度が高くなりますが、筆者個人としては短期記憶力が求められる復唱よりははるかに簡単だと思いました。
物語の要点要点を掴むことに集中して音声を聞くようにしましょう。
内容はそこまで難しいものではなく、回答は端的にわかりやすく、ポイントを外さないことに注意しましょう。
事前対策としては、英語の文章を読んで瞬時に要約できるように反復練習しましょう。
パートF:自由回答(2問)
パートFは2問だけです。
ようやく最後です。
こちらはだいぶ楽で、質問音声が流れますのでそちらを自由に回答するだけです。40秒間です。就職活動の自己紹介と同じ程度話せば大丈夫です。
結論、その理由、理由の根拠ソース、再度結論を述べるという基本的な流れさえ押さえておけば大丈夫です。
忙しいビジネスマンであれば日本語でも同じ流れで上司などに相談していると思います。それが英語になるだけです。ハキハキと、わかりやすくシンプルに回答しましょう。
この問題は実践でも生きる良いパートだなと思いました。あまり難しいことを言うのではなく、相手に伝えることに重点を置くようにしましょう。難しいことを言って知識を見せる場面ではないからです。
事前の対策としては、日々疑問に思うことを英語で40秒程度で瞬時に回答するなど、こちらも反復練習さえしていれば問題ないと思います。
まとめ
ビジネスコミュニュケーション力を高める上で、良い実践練習になる「VERSANT」試験の概要と対策方法について解説してきました。
費用はかかりますが、手軽に試験が受けられるのはTOEICなどと比べると非常にメリットが大きいですね。
TOEIC高得点者がビジネスの現場で全く英語が通用しないことからVERSANTの知名度が徐々に高まっているものと想像しますが、実際にネイティブスピーカーと会議や交渉などをする練習になりますのでまだ受けたことのないビジネスパーソンが積極的に受験することをおすすめします。
今後転職活動などで必要なのであれば、数を撃ってある程度慣れてきたら難易度は劇的に下がりますので、必要な人は何回も受けましょう。
ただし、本質的な英語コミュニュケーション力がなければ高得点を出すまでに相当な出費となってしまうので、やはり総合的な英語力を高めることをおすすめします。
高得点だけを獲得しても、あとで困るだけなので。できればVERSANTの対策含むコーチング式英語スクールなどが短期で本質的な英語力も向上でき、テストの点数にコンサルタントと向き合うことができるのでおすすめです。
コーチング式英語スクールについては以下の記事に譲りますが、今後のキャリアアップを考える人であれば英語力は避けて通れないため、短期で成果を出すスクールは時代に合った良いコンセプトだと思います。
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